老後まで安心できる 資金計画の考え方
2021.07.02
■家づくりで最も大切なこと
家づくりにおいて、最も重要なのはプランでもなく、
デザインでもなく、資金計画だと考えます。
なぜなら、せっかくの住みやすい家を作っても、
ものすごくカッコいい自慢の家を作ったとしても、
その家の中で暮らす生活が、楽しくなければなんの意味もありません。
家は、家族の幸せのためにつくるものであり、
生活を苦しめるためのものではないのです。
もし、間違った資金計画のまま家作りを始めてしまったとしたら…
・休みの日も働かなくてはならない
・両親ともフルに働きに出なくてはならない ⇒ 子供への愛情不足へ
・景気によって、万年赤字家計に…
など、せっかくの家づくりが、ただの負担になりかねない可能性もあります。
では、家など持たないほうが良いのか? というと、そういう訳ではありません。
家を持つことで、家族を守ることもできますし、
自分達の家で作る楽しい思い出は、何にも変えられない財産です。
この家づくりを楽しく、幸せなものにするために、
いくつかのチェックポイントを書き出しました。
ぜひ、参考にしてください。
■お父さんへ 家族を守るため家を持て!
もし、あなたが、30歳代の男性で、
お子様がいて賃貸住宅に住んでいるとしたら…
そして、家族が大切だ! と言い切れるのであれば、
ぜひ、自分の家を持ってください。
理由は簡単です。
もし、あなたの身になにかあったとしたら、家があなたの家族を守ってくれるからです。
大切なことなので、詳しくお話しましょう。
家を購入するときに、
住宅ローンを組む場合は、団体信用生命保険(通称:団信)という保険に加入します。
この保険は、あなたの生命に問題が起こった場合、
保険で住宅ローンを完済してくれるという制度です。
どのように、安心できるか? というと…
■家族に借金を残して死ぬのか?
あなたは今、35歳。賃貸アパートに住んでいます。
そして、何かあった場合に2000万円の生命保険に入っているとします。
明日、もしあなたの身に事故が起こってしまったと過程した場合、
どのようなことが起こるかをシュミレーションしてみましょう。
入金
2000万円(生命保険)
これだけが、家族に残されます。
これで安心…と思わないでください。
ここから支出がかかるのです。
出金
奥様も35歳とした場合、80歳まで奥さんが生きると過程しましょう。
そして、その賃貸住宅で生活をし続ける場合。
仮に月8万円とすると…
45年間、毎月8万円を払い続ける可能性があるのです。
8万円×45年間×12ヶ月分=4320万円
■借金を残すか、財産を残すか
単純に考えた場合、奥様が老後までを過ごしていくための住宅費として
4320万円がかかる可能性があるのです。
生命保険で残る費用が、2000万円としても、
4320万円-2000万円=2320万円
つまり、将来的に2320万円の借金を残してしまう可能性があるのです。
しかし、もし住宅をもっていれば、あなたに事故がおこった段階で、
住宅ローンはゼロになります。
多少の費用はかかるにしても、住宅にかかる費用は気にしなくてよくなるのです。
そして、2000万円の現金を残すことができるということになります。
(生命保険をかけ続けた場合ですが…
後ほど、生命保険の見直しについてお伝えします)
安心できる材料は、これだけではありません。
■遺族年金という制度を知っておく
毎月の生活に関しても、安心をしておくことができます。
それは、遺族年金という制度があるからです。
遺族年金によって、
奥様とお子様一人の場合では毎月12~14万円程度の給付を
受けることが可能なのです。
これに、奥様が毎月10万円程度のパートに出ることができれば、
毎月22万円~24万円の手取り収入が見込める訳です。
家賃にお金をかけず、家族2人で、22~24万円の収入があったとすれば、
年収500万円弱で、住宅ローンを払い続ける家庭と変わらない生活を
続けることが可能になるのです。
生命保険に入っているから、自分に何かあっても大丈夫と考える人は多いですが、
実は、家を建てておくこと(※住宅ローンを組んで)のほうが
自分に何かがあっても家族を守れると言えるのです。
これは、万が一を想定してのお話ですが、
このような安心感を持ち、
家の中で楽しい思い出を作っていただくことが重要ではないでしょうか?
■年収だけで判断するな
次は、本格的な資金計画について考えましょう。
まず、あなたがイメージした金額で家作りを提案してくる住宅会社があるとしたら…
その営業担当との打合せは中断すべきだと私は考えます。
もちろん、そのイメージした金額が、
お金の専門家に相談をしたうえでの答えならOKです。
しかし、なんとなくコレくらい…とか、
インターネットのシミュレーションソフトを鵜呑みにして…
ということであれば、危険極まりない、資金の算出方法です。
もちろん、あなたの目安としては、とても良い情報です。
ただ、問題なのは、お客様の声を鵜呑みにし、確認もしてこない営業マンです。
多くの人は、家づくりが始めての経験にも関わらず、
その人の意見を重宝するプロなんて、そもそもおかしいと思いませんか?
お客様のことを本当に考えるのであれば、お客様の意見ではなく、
プロとしてしっかりと、
なぜ、そのような金額でと考えているのかを確認しなければならないのです。
■借りられる金額と借りても良い金額
そして、資金計画を考えるのに重要なのは、年収です。
年収から借りられる金額を考えます。
一般的に500万円の年収で金利3%とした場合、(フラット35のHPを引用)
借りられる金額は、3,789万円
月の返済額は、14万6千円
と出てきます。
おおよそ、年収の35%が、住宅ローンへの支払いとなります。
もし、この計算で、提案をしてくる住宅会社があるとしたら、
その担当者は辞めてもらいましょう。
あなたの将来のことなど、なにも考えていないに決まっています。
(将来の収入や、自己資金の額を知っての行動なら別ですが…)
一般的な住宅会社の営業マンは、年収の25%~30%で住宅ローンを考えましょう。
と言ってくるでしょう。
このように話をしてくる営業マンは、35%というような営業マンよりは、全然マシです。
ただし、これも安易な答えだとは考えないほうが良いです。
■倹約家と浪費家
なぜなら、家族によって違いがあるのです。
倹約家と浪費家の家庭があるわけです。
仮に、世帯年収600万円の家でも、
毎月貯蓄をできる家計もあれば、赤字家計になってしまう家もあるのです。
この性格の違う家庭が、同じ年収だからといって、
家にかけるお金を同じにしても良いのか? というと、
違うと判断せざるをえません。
つまり、年収が一緒でも、資金計画は変わってくるということです。
シュミレーションや本に書いてある情報は、
あくまで平均的な家庭を想定しているのであって、
あなたの家庭・家計に、当てはまるかどうかは、わからないのです。
では、家を建てたからといって、浪費家の家庭の浪費癖が直るか? と、
言えば、倹約家の家庭にまで直ることは、本当にむずかしいことです。
自分の家がどのような家計なのかを知った上で、
また、どのような家計なのかを聞いてくれる、住宅会社と資金計画を立てなければ、
自分達にあった安心した将来設計はできないのです。
■ポジティブシンキングをしすぎない
住宅ローンを組む上で重要なことは、
長期間にわたって払い続けるということを理解しておかなければならないということです。
最初は支払いが、苦しくても、年収もあがっていくし、次第に楽になっていくだろう…
家を持つのだから、多少は我慢しないと…
こんな不景気だから、金利なんかあがらないだろう…
少しぐらい予算があがっても大丈夫だろう…
同期のあいつと同じ金額だから、問題ないはず…
など。
このような住宅を選ぶ際のちょっとした考え方の油断で、
実は、あっという間に日常生活に支障が生じる可能性が、あるのです。
大切なのは、老後まで安心して快適に、
そして楽しく過ごせるかどうかが、家づくりの目的です。
ちょっとした油断が、楽しく快適に過ごせるかどうかを邪魔するかも知れません。
家作りはときに、お金の感覚を麻痺させます。
冷静に考え、ポジティンブシンキングだけで進めないようにしてください。
■頭金の重要性は?
家作りをする上で、頭金が重要と考えられます。
しかし、頭金を気にするあまり、
大きな損をする可能性があることも知っておいてください。
なぜ、頭金が必要なのかご存知ですか?
これは、以前に住宅ローンを組むのに頭金として
20%を用意しなければならなかったのが、
頭金を必要と考える理由のひとつと思われます。
また、住宅ローンの月々の支払い額を減らすためにも、
頭金をできるだけ大きく積んで、月々の負担を軽減しよう。
そのために、頭金となる貯蓄をつんでから家づくりをしようと考える人もいます。
これが2つ目の理由でしょうか…
■シュミレーションをしてみる
頭金の重要性について考えてみると…
今の状況下であれば、頭金のことをあまり深く考えなくてもよいと考えます。
なぜなら、金利がすごく安い状態だからです。
頭金を貯蓄するだけの余裕があるのであれば、
それを月々の返済に上乗せするくらいの感覚のほうが、
トータル的に安く家を購入できる可能性があるのです。
一度、インターネットで金利シュミレーションをしてみてください。
シュミレーションの方法は…
今、一番安い住宅ローンで3000万円を借りるのと、
2年間かけて200万円を貯めて住宅ローンを組むのを比較してみます。
仮に0.7%の金利が上昇した場合は…
・3000万円の借り入れで金利 2.570%
・2800万円の借り入れで金利 3.270%
で比較をしてみてください。
■損をして、悪い環境になるか、その逆か?
結果は、
3000万円の借り入れで金利 2.570% は、総額 4,552万円の支払い
2800万円の借り入れで金利 3.270% は、総額 4,705万円の支払い
となります。
これに、頭金の200万円がプラスされます。
その結果、353万円の差ができます。
さらに、その2年間の家賃を考えると…
月8万円の家賃であれば200万円近い差がさらにできるのです。
つまり、良かれと思って貯めた頭金が、500万円以上の損をする可能性すらあるのです。
■月々の支払いを見直す</3>
住宅購入を考える上で、同時におこなわなければならないのが、
月々の支払いの見直しです。
特に重要なのが、保険の見直しが重要だといわれています。
なぜなら、住宅ローンを組むことで、生命保険に入るようなものだからです。
高額の生命保険に入る必要性がなくなり、怪我や入院などに関する保険さえ入っていれば、
家族を守ることもできることになるのです。
そのため、高額な保険を見直し、それを住宅ローンに付加するという考え方もあります。
これは、住宅を扱う営業マンであれば、必ず提案すべき内容であると考えます。
このようなことに触れない営業マンは、
家のことにしか意識が回っていない可能性がありますので、
信頼できるかどうかは疑問です。
生活の効率化、無理・無駄を排除する提案をするのも、
住宅を扱うものの使命だと考えます。
■支払いが減るもの・増えるもの
住宅を購入することで、支払いは減るもの・増えるものがあります。
支払いが減るものとしては、先程も触れましたとおり、
・見直し後の保険料
支払いが増えるものとしては、
・光熱費
・固定資産税
などでしょうか。
家を建てることで、多くの場合は面積が大きくなり、その分、光熱費が高くなります。
また、今まで払っていなかった固定資産税も発生します。
そのあたりのことも、予測して資金計画を組まなければ、
後になって苦労することになります。
■住宅ローンの選び方
住宅ローンの選択は、本当に難しいものです。
特に、現在のようなデフレ状況においては難しい選択です。
安心感を望むなら、長期の固定金利。
チャレンジをするなら、変動金利。
という選択です。
どちらが正しいかは、未来に行かなければ分かりません。
ただ言えることは、変動金利の超低金利の状況が、
ずっと続くものと考えた資金計画はしないということです。
最低でも4%くらいまでは金利があがるのを覚悟した上で、
そこまで上がるまでの間、
今の低金利で過ごせればラッキーと思える感覚でいることが大切です。
今の低金利は、普通ではないということを知り、
どのように有効活用するかを考えましょう。
■住宅ローン減税を考える
住宅ローン減税という言葉をご存知ですか?
支払った税金が、10年の間住宅を購入した人に優遇されるというものです。
ポイントは、税金を払っていれば返ってくるし、
税金を払っていない人には返ってこないということです。
これをあてにしすぎてしまうと、あとで、困ってしまいます。
自分が払っている税金額を確認し、かえってくる額を事前に把握しておきましょう。
住宅会社の営業マンによっては、
住宅ローン減税の手厚い今が買い時です!
というようなセールストークを使うケースがあります。
なんとなく、今かな! と思うかも知れませんが、
自分にとってどれだけのメリットがあるかを知っていれば、
信頼できる営業マンかそうでないかの確認にもなります。
事前に、自分がどれだけのメリットを受けられるかを知っておきましょう。
■どんな家をつくるか?
資金計画を考えた上で、どのような家をつくるのかを考えることが大切です。
資金計画をつくる前に、プランを作成してしまい、
夢ばかりが大きくなってしまったために、その夢を縮小できず、
無理をしてしまうというケースも少なくありません。
(当社の場合は、そのようなことはさせませんが…)
資金は無理をしてしまうと、後でなんとか…という訳にはいきません。
予算を考えた上で、プランを作ることが重要です。
たとえば、
必要以上に大きな家にしない…
ブランドを意識して、メーカーだけで検討をしない…
何のために家を建てるのか、優先順位を明確にしておけば、
必要なところにお金をかけ、予算の余裕をみて、プランを決めていく。
そんな家づくりをお勧めします。
■お金を生む家と消費する家
住宅には、お金を生む家というのがあります。
先程までの話では、光熱費が増える…というようなお話もしたのですが、
実際には、光熱費が少なくて済む。
もしくは、かからないという家も存在します。
それは、
機密性の高い住宅。
太陽光パネルを搭載した住宅。
などです。
そして、これら以上に最もトータル的にお金がかからないのが、
長期にわたって活用できる住宅です。
もし、200年に渡って使える住宅だったらどうでしょうか?
5世代にわたって使えるのです。
そんな家…と思われるかも知れません。
しかし…
■お金を生む家と消費する家
北欧などでは当たり前のことです。
では、古い家が悪いのか? というと、
古い家でも機能性があって、太陽光発電もできて…
リフォームすれば、家族の変化にも対応できて、
かつ、デザイン的にも優れていて。
北欧の古い町並みをみてダメな家とは思わないはずです。
そんな住宅があるのです。
しかし、ここ最近の日本の住宅は、寿命が30年。
物やパワーを消費し、暮らすことが当たり前になってきました。
30年しか持たない家は、200年の間に6回も建て替えなければなりません。
その結果、1億円を余計に払ってもおかしくないのです。
自分の老後まではもちろん、自分の子供・孫、
さらにはその子供まで使える家を考えてみれば、
家の価値がわかるのでは・・・と考えます。
■家づくりの第一歩
今、どのような家を作るのか、本当に選べる時代になっています。
お金をかけない家づくり。
将来のことまでを考えての家づくり。
月々の負担を軽くするための家づくり。
自分達の目的に応じて、最善の選択をすることができます。
しかし、一番大切なことは、その家で何をするのか? 何を遺したいのか?
だと、私は考えます。
そのために、お金のことを考えることは本当に大切だと思います。
事前にしっかりとお金の話を勉強し、
自分の状況を把握した上で、家づくりにとりかかって欲しいと思います。
家は絶対に建てるべきです。
その中で、どのように安心してくらせるかを考え、準備をしてください。
適切なアドバイスをご希望されるのであれば、一度当社へご相談ください。
お問い合わせ